危機に瀕したいのちが屹立する
ことばが屹立する
過去と現在と未来を 個と社会を
「わたし」と地球を結ぶ
思想と姿勢が屹立する
ここに あなた自身が確かにいる。
帯文:落合恵子 作家 クレヨンハウス主宰
編者:佐相憲一・中村純・宇宿一成・鈴木比佐雄・亜久津歩 解説文:佐相憲一、中村純、宇宿一成、若松丈太郎、鈴木比佐雄 |
A5判/544頁/ソフトカバー |
定価:2,160円(税込) |
発売:2011年7月28日
【詩篇紹介】
それじゃ 旅先で会った子どもたちへ 木島 始
キャンドル吹きけそうとするたびに
あさっての口笛がきこえるなら
また会おう
やっと泣きやんでほっとするきみに
鳥が目くばせしかえすなら
また会おう
焼きたてのパン屑がいつのまにか
蝶々のかたちに散らばるとき
また会おう
紙のユートピアを食べすぎて
山羊がむせてしかたがないとき
また会おう
【目次】
序詩 高良留美子 産む 20
第一章 こども
空色まゆ 種蒔き 24
田中裕子 光のくに 25
山本聖子 ループ 26
小森香子 春浅い風のなかで/自分のことばで 27
中村純 愛し続ける者たちへ 28
斗沢テルオ ごめんねごめんね 29
島田陽子 坊やはよい子だ 30
谷崎眞澄 カナリアは何処か 32
武西良和 悩む子ども①/悩む子ども② 34
山﨑清子 もうすぐ春です 36
桐木平十詩子 春の少年 37
吉川伸幸 家出 38
ともこ 彼女のことば 39
井上優 咲いている/地球の匂い 40
淺山泰美 桜に祈る 41
芳賀章内 赤の胎動/青の胎動 42
中原澄子 イーハトヴへ 44
亜久津歩 ゆずり葉/きみへ/チチとハハ 46
河野洋子 愛しいもの 48
大釜正明 あかるい ひざしのなかに 49
田尻文子 授かるものに 50
市川紀久子 子どもが消えてゆく 51
新川和江 給食の時間に 52
瀬野とし ゴムまり―世界の子どもたちの写真展で 53
若宮明彦 小さな掌に 54
清水マサ 生命 55
木塚康成 会えなかった子供 56
佐相憲一 あした生きていたら 57
第二章 仕事、 世の中
植田文隆 青いビニールシート 60
大森ちさと 見たことがありますか/散って行く 61
中村花木 眠れるナース 62
平井達也 吸い殻 63
浅井薫 骨のはなし 64
杉本一男 水の行方 65
高橋英男 呑川 66
山岸哲夫 ミレニアムのぼろ船 67
酒井一吉 八文半/はためく 68
小松弘愛 L釘 70
木田肇 怖い夢 72
こまつかん 旋律 74
原圭治 漂流 続けて 76
宮崎清 チャップリンがいない 77
岡たすく 犠牲者 78
椎葉キミ子 知る 79
渡辺めぐみ 誓願 80
船曳秀隆 人間になれば/風樹に触れると 82
片桐歩 罰/労働/死 84
西岡光秋 手錠 85
第三章 動物、草花と共に
関根裕治 春れんさ 88
佐相憲一 ゴマフアザラシさん こんにちは 90
南邦和 ムツゴロウ悲歌 91
中山公平 身辺 92
名古きよえ 風にゆれて 93
菊田守 小さなカニのようなクモが
/いのちの輝き 94
藤谷恵一郎 朝が来ると/モンシロチョウ
/時の海 96
豊岡史朗 老犬 98
田中秀人 あかね雲 99
秋村宏 生きものたち 四篇 100
佐藤文夫 牛のいのち 101
出山葉枝 魚の向こうの景色 102
萩尾滋 ノアへの時―新植民地主義戦争 103
田中作子 共存/野良猫の食事 104
日高のぼる ブンは風のなかへ 106
長瀬一夫 新しい枯葉 108
岡山晴彦 花よ/ことばよ 109
山本みち子 夕映え 110
宇宿一成 夕暮れの喜劇 111
第四章 自死ということ
亜久津歩 命綱 1 114
山下静男 丹波の黒豆 115
吉田博子 かわいかった妹よ 116
小林由実 ボール/手紙 118
上田由美子 残陽 120
うめだけんさく 夜の散歩道 121
美澄 こたえ 122
植田文隆 なんでだろう 123
川奈静 少年の自死 124
中園直樹 ピンクシャツデー 125
第五章 病気も老いも生きぬいて
青木はるみ レッドゾーン 128
宇宿一成 脱皮した少女の 129
加藤礁 白い十字架 130
片岡文雄 余命 131
小山和郎 天の水 ―O・Kへ― 132
日高滋 『ペーパーマン』再生 133
園田實則 大変な世の中/老々介護十三年 134
三島久美子 ハザードマップ・二〇一一年 135
北村愛子 八十四歳頑張って生きてるの
/にこにこしなきゃあ あかんなあ 136
金田久璋 ツチノコを引く 138
弓田弓子 電話あり 140
川原よしひさ 白く青いトンネル 141
入谷寿一 ことばをください 142
福士一男 病人哀歌 143
武藤ゆかり ご心配には及びません 144
司由衣 わたしは終わらない 145
秋田高敏 薔薇の花 146
徳沢愛子 今 わかる 147
外村文象 余命 148
佐藤勝太 命あっての人生 149
中野鈴子 友よ 友だちよ 150
第六章 農村、山里にて
北原千代 招待状 152
和田文雄 こめ俵 いもづくり 153
後藤順 まんま 154
橘田活子 おっちゃん 155
和田攻 畑にて思い候 156
越路美代子 特殊のかなた 157
大塚史朗 予兆 158
磐城葦彦 朽ちていくものに 159
皆木信昭 むらが危ない 160
第七章 レクイエム
坂本法子 夜中 電話がかかりました 162
中山直子 雪を食む鳩 母の姿 163
岡三沙子 対岸の父と 164
安達甫朗 嫗 165
三浦幹夫 そのひとはむかし 166
川島完 詩人の死 ―小山和郎に 167
福本明美 喪失感―柳原省三を悼む― 168
山佐木進 数字 169
おぎぜんた 母は何を 170
片山ふく子 晩夏の蟬 171
なたとしこ バンザイ 172
淺山泰美 玉手箱 173
星乃真呂夢 雪の扉 ―母へ まだ見ぬいのちへ 174
第八章 戦争と平和
吉田義昭 海の時間 178
岡田優子 冬の林檎 179
岡崎純 左手 180
高田太郎 永日 181
井上庚 愛ちゃんのお兄さん 182
大倉元 父やんの一心 183
榊原敬子 辿り着くまで 184
井本正彦 オリオンが墜ちた夜 185
浅田杏子 モノクローム・ヒロシマ 186
日下新介 はるかなる風紋 187
石塚昌男 いのちの記憶
―ある満州開拓団の最期― 188
ぼうずみ愛 風/北の旅 190
金野清人 命の重さ/カンツカ 192
鳴海英吉 早春・砂浜で 194
たけうちようこ 遠い日の夾竹桃 196
門田照子 鴻毛よりも軽く 197
西森茂 被災地に桜が咲いた 198
斎藤紘二 千羽鶴 199
松本賀久子 一九四五年 200
島秀生 あの日のドラゴン 202
貝塚津音魚 核の報復 204
猪野睦 基地ルート下 205
梅津弘子 横浜ノース・ドック 206
村田辰夫 命を守れ
―湾岸戦争時の英国の少年兵に仮託して 207
山田よう ミョウバン先生 208
第九章 歴史と自由
山田かん 遠い丘 210
小熊秀雄 馬の胴体の中で考えていたい 212
今野大力 胸に手を当てて 213
栗原克丸 寒燈をかかげる―家永三郎氏に 214
茂山忠茂 亡霊 215
草倉哲夫 君が代 216
やまもとれいこ 旗ふりおじさん 217
森田和美 波間のゆりかご 218
西山正一郎 エクシェフェブラリー
バングラディシュ母国語記念日 二月二一日 219
高炯烈(李美子 訳) ああ 悲しい、崇礼門
/崇礼門外 220
第十章 考える、感じる
斎藤彰吾 序曲 224
池下和彦
今夏はふうせんかずらやゴーヤのすだれで節電 225
薩川益明 みどりごの馬車 226
柴田康弘 沼底 227
鳥巣郁美 影を踏む 228
柳生じゅん子 朝の科学 229
大西久代 ひとりの川をふりかえる 230
和比古 魂を探して 231
おしだとしこ その貌に その手に 232
岡田惠美子 余剰のいのち 233
青柳晶子 時代 234
横田英子 哀しみの歌 235
山本倫子 危ういひかりの中で 236
築山多門 毛深い思想 237
坂本梧朗 因果 238
山本泰生 うすくち時代 239
はなすみまこと 座る/夜道 240
働淳 肉体の劇場 242
河井洋 名は茉莉花 244
岸本嘉名男 おののき 246
瀧川順一 宇宙に捧ぐ 247
江口節 この星の、その日 248
中原かな 閃光 249
市川つた 地球が危ない 250
第十一章 東日本大震災・津波など
Ⅰ 東日本大震災の状況
わたなべえいこ 遺体安置所/火葬場にて 254
清岳こう 『マグニチュード9・0』より 256
照井良平 ウミネコが鳴いている 258
佐々木洋一
ガレキ―東日本大震災後の南三陸町にて― 259
斎藤久夫 東日本の高台で 260
福田操恵 海を見つめる少女 261
根津光代 薬をとりに 262
岩田英作 わたしは終わったのに 264
福田明 声 265
村永美和子 とどけたかった声 266
志田昌教 震災の鐘 267
ささきひろし
名づけられた童たちへ ―魂しずめの詩 268
岩崎和子 砂上の城 270
下前幸一 あなたが思うこと 271
香野広一 多数の命が津波にうばわれた 272
三浦千賀子 このままボクは 273
平原比呂子 その日から―大阪府下・吹田市で― 274
木村淳子 主よ、あなたはなぜ……? 275
佐藤惠子 三日月の夜 276
東梅洋子 うねり 4/うねり 5 277
下村和子 瑠璃浄海 278
藤貫陽一 律すること 279
朝倉宏哉 風の電話ボックス 280
山本龍生 津波てんでんこ 281
黒羽英二 天変地異に怒り悲しむヒトの歌 282
秋山泰則 逃げてください 283
森田海径子 震える 284
尾堂香代子 祈り 285
酒木裕次郎 東日本大震災(東北関東太平洋沖巨大地震)
/生老病死 286
北村愛子 夫の腕時計/大川小学校 288
カトリン・ゼグリッツ(荻野静男 訳) 三つの詩 290
Ⅱ 東日本大震災をこえて
原田勇男 海の壁がしぶきをあげて
/いのちを救う声―遠藤未希さんの霊に 294
御庄博実 黒い津波 ―東日本大震災・1―
/屋根に上がった船 ―東日本大震災・2― 296
崔龍源 二〇一一年三・一一狂詩曲/無言歌 298
山口修治 あと 何をすれば 300
長津功三良 神と悪魔が手をむすんだのか 301
田澤ちよこ 四月のよろこび 302
中津攸子 光 303
深谷孝夫 日常から非日常へ 304
水月りら 凪の営みに 305
ヴァレリー・アファナシエフ(尾内達也 訳)
日本に捧ぐ 306
村田譲 3月21日のてがみ 307
片桐歩 災厄のあと 308
星清彦 帰るということ 310
井上嘉明 海のたくらみ 311
日高のぼる 鳥の影 312
浅見洋子 空襲孤児から震災孤児へ 314
松本一哉
Sacrifice and Selection (犠牲と選択) 316
Ⅲ 過去の災害
稲木信夫 父は 322
栗原克丸 「痛恨の碑」 324
新井豊吉 いまからでも 325
大崎二郎 記録(台風五号) 326
井崎外枝子 海溝へ、地の底へ
二〇〇七年三月二十五日、能登半島地震によせて 328
畑中暁来雄 悪魔の爪 ―阪神淡路大震災素描― 330
安永圭子 壜の中 331
山本十四尾 地震雲 332
忍城春宣 暴れ川 333
第十二章 原発
Ⅰ 原発と文明
浜田知章 ノルマンディの林檎 338
柴田三吉 掌の林檎 340
大泉その枝 幻の力 341
中村純 ヒバクシャ 342
矢口以文 大津波に呑まれた故郷
―二〇一一年三月一一日― 344
田中眞由美 蚯蚓 345
宮本小鳩 私が揺れている間に 346
吉田和古 ゆびきり 347
小野恵美子 ピリオド 348
堀内利美 月の声 349
白河左江子 コーティング 350
吉村伊紅美 蛍飛ぶ 351
山本涼子 パンドラの箱 352
青木みつお 飯舘 353
奥主榮 箱舟が消えた時 354
栗原澪子 問い 355
熊井三郎 神話崩壊 356
伊藤眞理子 神話 357
星野由美子 埋み火 358
尾内達也 夜の太陽 359
鈴木悦子 難破船/ダイジョウブ/希み 360
楊原泰子 四番目の大罪 362
田中詮三 光よ未分化の根毛を殴るな 364
木島章 小さな包み 365
山岡和範 原発 366
Ⅱ 全国の原発
山本衞 ヒトは?―ゲンパツはゲンバク― 370
埋田昇二 浜岡が危ない 374
岡村直子 ユウレイソウ 376
館路子 沖を望む(柏崎刈羽)海辺の異物 377
田村のり子 冥界の貴方亭氏よ 378
立石百代子 再開の町(サイレンが鳴り響くとき) 379
柳谷守人 タミ婆ちゃん 380
玉造修 海底へ 381
ごしまたま 22時の家 Ⅷ(8)
/22時の家 Ⅸ(9) 382
伊藤眞司 誰が
―東日本大震災・二〇一一年三月十一日― 384
正田吉男 2011・03・11 木の芽どき 385
河野洋子 大震災に思う 386
鷹取美保子 不死の番人が言うことには 387
Ⅲ 福島原発
若松丈太郎
連詩 かなしみの土地 6 神隠しされた街 390
鈴木比佐雄 シュラウドからの手紙
/千年後のあなたへ 392
牧葉りひろ ジェイヴィレッジ近く 394
うおずみ千尋 ふるさと福島 395
結城文 3・11 396
黒木なみ江 退去命令(元気を出して!) 307
黛元男 農夫の死 398
大久保せつ子 福島の子だから 399
いわたとしこ 福島はいま 400
郡山直 原発は安全か 401
酒井力 水のいのち 放射能汚染を憂える詩 402
吉田博子 目に見えぬもの 403
大井康暢 震災余話 404
真田かずこ メルトダウン 405
望月昭一 安全の呪文 406
小村忍 牙をむく原発 407
田島廣子 東日本大震災と原発事故 408
原島里枝 震災死者のなき埼玉にて 409
山越敏生 僕は新聞を読む 410
大原勝人 巨竜の泪 411
みもとけいこ カルボナード火山の青い光 412
森三紗 遭遇―東日本大震災 414
鈴木文子 大震災被災者一覧 416
山本清水 黒い牙 418
ダニエル・ツァーノ(荻野静男 訳) 福島 420
谷崎眞澄 スクラップ・ブック 422
塚本月江 いなむらの火 424
浅尾忠男 3・11のバラード 426
くにさだきみ 丸裸で 佇つ
/もうもう とないて 428
三井庄二 黒澤明監督への手紙
―赤ん坊を殺されてたまるか 430
若松丈太郎 既視体験 432
第十三章 願いと祈り
壺井繁治 球根 Ⅰ 436
一瀉千里 その一歩のために 437
井野口慧子 野薔薇 438
青柳俊哉 永遠 439
荒木せい子 坑道/氷柱 440
山内みゆき 仏 442
須藤あきこ わたしの中のあなたへ 443
中林経城 玄胎 444
香山雅代 在ることへの祈り 445
宮静枝 雪ぞ降る/寒菊(子に)/啄木望郷の詩
/天のぶらんこ 446
高橋小夜子 おまえをどこへ忘れたのだ
/いのり―小夜子曼陀羅― 448
高橋一仁 ばあちゃの むしパン
/あした てんきになーれ
/ジャングルジムのゆうえんち
/げんじさま 450
笠原健 病の闇から/原点/積み木/風
/軽やかに/透明な/ともに/あなたに 452
スポンジこゆたん 僕たちの足元にあるもの 454
高畑耕治 さようならこんにちは 455
石村柳三 死に急ぐことなかれ―命音への讃歌 456
有馬敲 いのちへの祈り 457
宗左近 夜の虹/始原 458
結びの詩
木島始 それじゃ 旅先で会った子どもたちへ 462
解説・あとがき
解説
1 命の声の詩集です 佐相憲一 466
2 予言する者たち 目覚めている者たち
中村純 482
3 生きる希望 宇宿一成 489
4 フクシマからの思い 若松丈太郎 494
5 残された人びとを勇気づける本当の言葉をめざして
鈴木比佐雄 497
あとがき
いま、あなたと、ふみだすために 亜久津歩 504
執筆者一覧 508
編註 542